黒幻焼の黒は漆黒の宇宙・・・森羅万象、すべてのものをのみこみ、すべてのものを生みだしてきた漆黒の闇・・・黒幻焼の黒の中にある原始の力と神秘性は、私たちの心をいやし、時には優しく語りかけてきます。
原料は地元埼玉県の田地の土を利用しています。700~800℃の低温焼成にて焼成し、仕上げに松葉を大量に束ね、窯に入れ器をしっかりと燻します。そうすることで黒幻焼の特徴であるしっとりとした漆黒の色合いを定着させることができるのです。これは古くからの燻し瓦の焼き方を原点としています。
漆黒の宇宙空間に浮かぶ青く輝く地球は、私たち人類の営みをすべて見つめて来ました。太古の昔から人々は石や木で道具を作り土を焼いて器や調理用具をいくつも作って来ました。人間が自然現象や日常の出来事にも生命が宿っていると信じていたころ、山の神に収穫物を貢ぎ物として供えたり、もっとも貴重な捧げものとして命を差し出して人の死や、戦争、洪水、干ばつなどを静め、良好な気候、豊穣、健康、多産などの神の恩恵を受けたのです。
現代に生きる私たちが、原始的で呪術的な臭いのするものを求めたいと思うのは何故なのでしょうか、日常生活において魂が”ブルン”と震える実感がないからなのかもしれません。
今、地球環境のことを考えてみるとインカの人々の魂をもてば、いけにえをだして温暖化を防ごうと考えるでしょう。地球を俯瞰し、人間を俯瞰することによって生命圏の中でわれわれは何処へ向おうとしているのかを見つめ直し、原始の力をもった人間本来の魂を呼び戻す...
焼き物を焼き、石を刻み続けるという行為そのものが人間本来の魂を感じることに繋がっているのかも知れません...。